領域/コース紹介

専門領域(コース)

歴史・人類学サブプログラム/専攻は、日本史学、東洋史学、西洋史学、歴史地理学、先史学・考古学、民俗学・文化人類学の6つの専門領域(コース)にわかれています。院生は、このいずれかの専門領域に所属し、文献研究やフィールドワークを経て、その研究分野における基盤的研究手法を修得するとともに、今日の研究状況に対応し学界を先導し得る先端的研究視点と方法とを身につけます。サブプログラムを構成するいずれの分野も、多様な時代と地域を場とする人間の営みそのものを重視したカリキュラムを組んでおり、科目履修にあたっては、各専門領域を超えて広い視野に立った学問を築くために、他分野の単位も取得するように指導しています。歴史学と人類学の両分野における各専門領域の探究を軸として、独創性と高度な研究能力を備えた学究型の研究者・教育者、ならびに、研究成果を社会に還元できる実践型の高度専門職業人の養成を目的としています。

日本史学


日本史学領域では、古代から現代に及ぶ幅広い時代の研究に対応しうるスタッフを揃え、ゼミを中心としつつ、史料学や実習をも取り入れた多角的なカリキュラムを準備しています。「日本列島」を場とする人々の生活から紡ぎ出された歴史的世界を解き明かすための、「倦まず弛まず」を旨とする研究力をそなえた研究者の養成にとどまらず、教育機関・資料館・博物館などで問われる高度な専門的・実践的な知見の涵養も目指しています。加えて、「開かれた学問世界」に対応するために、とかく「単眼的」になりがちな日本史学の固有性にとらわれることなく、常に生活者の眼差しに啓発されつつ、「複眼的」な日本史学の構築を模索しています。課程修了者は、各地の大学をはじめ、博物館・文書館等でも活躍しています。

東洋史学


東洋史学領域は、中国とその周辺領域(内陸アジア、海域アジア)の広範な領域をカバーし、今日的問題やその歴史的起源を探究する近代史・現代史と、さらに時代を遡り歴史事象の根本を探究する前近代史を専門とするスタッフで構成されており、政治史・社会史のみならず宗教文化史等の特徴ある課題に関しても専門的な探究を進めています。大学院での研究・教育として一次史料の使用を重視し、漢文や満洲語等の諸言語の文書を解読する能力の養成を重視した演習を行っています。加えてデータの収集・分析の方法、フィールドワークの方法についても院生のニーズに応じてきめ細かに指導し、歴史的な視点からアジアの社会を分析把握できる人材の育成を行っています。

西洋史学


西洋史学領域の教員の専門分野は、古代西アジア、ドイツ、イギリス帝国、アメリカ合衆国と多岐にわたります。扱っている史料の言語も、シュメル語、アッカド語、ドイツ語、英語、フランス語と様々で、専門分野を中心に深く研究しつつ、広い視野から歴史を研究するセンスを磨きたいと考えています。西アジア、ヨーロッパ、アメリカの3つの地域における古代から近現代に至るまでの歴史と文化の探究を軸に、自立的に研究を進め、学界に寄与しうる研究能力をそなえた研究者、ならびに研究成果を社会に還元できる高度専門職業人の育成を目的としています。この目的に向けて、各人の研究課題に即し、諸言語による史料の読解と分析を基礎に独自の歴史研究を構想・表現する能力を培う高度専門教育を行います。同時に、歴史学全体における研究動向に眼を向けて、既存の学問分野にとらわれない広い視野から新しい学問的境地を切り開きうる研究者の育成を目指しています。

関連サイト:西アジア文明研究センター

歴史地理学


歴史地理学は、時間(時系列的変化)と空間(地域的特質)の双方から研究対象に接近する学問分野です。歴史地理学を専門とする大学院のコースが設置されている大学は日本でも例が少なく、そのため,当領域は大変ユニークな存在ということができます。歴史地理学の研究においては、自然環境から人文・社会環境にいたる諸条件の総合力が重視されますが、当領域のカリキュラムの特色としてはゼミとフィールドワークの実習に重点を置いており、「歴史地理学実習」などの授業科目を通じて、論文作成に必要な基礎力および総合力を養うカリキュラムとなっています。そのうえで、修士・博士論文は院生各自の問題関心に立脚し、地域のダイナミズムを描くとともに、地域で活動する主役たる人間の生活を十分に踏まえた研究成果となるよう指導を行っています。修了者は各地の大学をはじめとする教育機関等で活躍しています。

関連サイト:歴史地理学研究室

先史学・考古学


先史学と考古学の研究と教育を幅広く行っている領域です。時代は人類の起源から現代まで、地理的には日本、中央アジア、西アジアなどで調査・研究を行っています。教員の主な専門領域は、狩猟採集民社会、農耕の起源、古墳時代の国家形成、考古科学、文化財の保存修復など多岐にわたります。先史学・考古学が主に依拠する物質文化資料は、それ自体は沈黙する静的な資料ですが、それ故にそれを残す人間の恣意的な意図に左右されにくいという性質を持っています。先史学・考古学は、この資料的特性に基づき、歴史上忘れ去られたもの言わぬ人々の社会や文化、および意志を現代によみがえらせ、それを将来に伝え生かしていく学問的使命を持っています。先史学・考古学領域では、自由な発想でさまざまな分野と連携しつつ、物質文化資料を先史時代から現代までのあらゆる時代・地域の研究に生かすことのできる人材を育成することを目標としています。

関連サイト:先史学・考古学研究室

民俗学・文化人類学


民俗学・文化人類学領域では、社会や文化に関わる様々な事象について、フィールドワークと資料収集を基盤とした研究と教育を進めています。教員の主な関心は、宗教・儀礼、信仰・伝承、生業・経済、親族・ジェンダー、科学技術、環境・災害などで、主な対象地域は日本および東アジア、中東(トルコ)です。本領域では、大学、研究所、博物館等において民俗学及び文化人類学の研究・教育活動を高度に担い得る、学究型・実務型の研究者の育成を目指しています。そのための教育方針として、課題の多様性とその理解力、フィールドワークの企画実施力と課題の設定能力、一次資料の分析・表現能力、個別研究論文の作成能力、プレゼンテーション能力などを重点化し、人類文化について深い洞察能力をもつ人材を育成していきます。